無職期間を振り返る

2023年9月末に会社を退職してから、約1年間、無職生活をしていました。無職期間について振り返ろうと思います。

生活は主に、放送大学で勉強したり、図書館で借りた本を読んだり、散歩をしたり、三食自炊をしたり、次の仕事のリサーチ等をしていました。アルバイトぐらいしようとも思いましたが、結局やりませんでした。1年間、賃金労働しない生活となりました。

2024年10月から、ITフリーランス週3日の仕事を始め、無職生活もなんとなく終了しました。一年間の無職期間を振り返ります。

1.社会的身分とアイデンティティ

仕事をしていないと、社会的な肩書がなくなります。ITエンジニアですとか、会社員ですとか、自分を説明する社会的なワードがなくなります。そうなると、自分は何者かというアイデンティティ(自己同一性)について、考えさせられます。私が自分なりに考えた答えは、「自分の歴史」をアイデンティティにすればよいということでした。

肩書をアイデンティティにすると、いつか失う時がきます。ですが、その人の歴史は失われません。今の自分が、過去の自分の積み重ねの上に成り立っていると考えると、自分のアイデンティティを、過去の自分の歴史に置くことは、そう的外れなことでもないと思いました。自分は今まで、こんな経験をしてきた、こんなことを達成してきた、こんなことを学んできた、そんな感じの人ですと、自分のことを考えれば、肩書等がなくても、アイデンティティの問題は解決すると考えました。

2.無職期間に対する様々な見方

無職期間は、考え方次第で様々な見方ができます。否定的な見方をすると、失業中、履歴書の空白期間(ブランク)などがあります。見方を変えると、期間限定Fire、労働からの解放(昔の貴族のような生活)、定年退職後のリハーサル、人生の夏休み(自由時間)、みたいな考え方もできます。キャリアブレイクという考え方もあるそうです。日本の社会では、否定的な見方も多いと思いますが、考え方次第で、プラス思考にもマイナス思考にもなります。

3.自由の難しさ

無職期間中は、会社など拘束されるものが何もなく、完全に自由の身となりました。自由な生活というのは憧れがある一方で、実際やってみると、難しさも感じることができました。起きる時間も、寝る時間も自由です。怠惰な生活や不規則な生活になってしまうリスクもあります。自己管理がより大事になります。

私が考えた対策は、生活をある程度ルーティン化することでした。朝と夕方に散歩すること、午前中は放送大学の勉強をすること、三食自炊することなどを、ルーティン化しました。ルーティン化することで、規則正しい生活をキープすることができました。

自由であると、行動を全て自分で決める必要があります。人から言われたことをやる方が、楽な面もあるかもしれません。取り組む活動がないと、暇や退屈にもなります。Fireも、自由な時間や暇をどのように使うかが、課題になると思いました。

4.収入と関係ない活動

無職期間中も生活はしますが、活動の多くは収入と関係ありません。収入にならない活動は、無駄であり価値が低いのでしょうか。そういったことを考えました。

会社で毎日仕事をしていると、お金にならない活動や、利益を生まない行動は、無駄で生産性が低いと考えるようになります。企業が利益を追求する以上、そういう考え方に慣れてしまいます。

無職となり、散歩したり、興味本位で学問をしたり、仕事と関係ない本を読んだり、自炊をしたり、収入と関係ない活動をしていると、それらの活動にも価値を認めたくなります。

例えば、散歩をすると運動にもなるし、頭の整理にもなるし、気分的なリフレッシュにもなります。

学問をしたり本を読んだりすると、お金にはなりませんが、知識や教養は増えます。お金は使うと減りますが、知識や教養は使っても減りません。資産としては増える一方です。教養があると、興味や思索の幅が広がり、暇への対策にもなります。

自炊をしていると、生活の不安が少し減ります。高い費用をかけなくても、健康的な食事が作れることが分かってきます。生活不安の根本は、衣食住や健康の不安ではないでしょうか。お金の不安も、所持金がつきると、衣食住や健康が保てないからだと思います。自炊することで、食や生活費の不安を少し減らすことができます。また自炊することで、食が生活の基本であることも再認識できます。

収入と関係ない活動も、収益を一旦忘れて見直すと、価値を再認識できるかもしれません。無職期間が良い機会になるかもしれません。

5.孤独な時間

無職でいると孤独な時間が増えます。しかし、それは自分と向き合う時間にもなります。会社などの組織に属していると、組織の考えを優先し、個人の考えは後回しになりがちです。周囲の影響が少ない孤独な時間は、自分の本心を問い直すには良い機会となります。社会的な肩書や責任もなくなり、より素の状態で本心を再認識することができます。そのような時間が、自分なりの価値観を醸成して自分軸の基盤になるのかもしれません。

6.何のために働くか

無職中はこの問題を考えると思います。生活費以外の動機も考えました。

自己実現や、志がある仕事をしたいということも考えましたが、賃金労働を探してもそのような仕事はどこにもありません。雇用される前提の賃金労働に、そこまでの価値を求めると、ミスマッチになります。

無職中に仕事のメリットとして分かったこととしては、以下のようなことです。

6.1.仕事は暇つぶしには有効

無職でいると、暇な時間が増えます。放送大学や図書館で勉強はしていたものの、サラリーマンの時に比べると、暇な時間が増えました。やはり週休7日は、時間があり過ぎて暇を持て余す時もあります。その時、分かったことは、仕事をしていた時は暇を感じなかったということでした。暇つぶしという観点で、仕事のメリットを感じました。

ただし、(個人差があると思いますが、私の場合)週休2日のフルタイム労働は、暇が少なすぎると感じています。仕事以外のことをする時間や余力が残りません。そこで、とりあえずITフリーランス週3日労働(週休4日)で、賃金労働とプライベート(放送大学等)のバランスを試すことにしました。

6.2.社会とのつながり

無職になり仕事から離れると、社会とのつながりが減ります。社会とのやりとりには、多くの場合、お金が介在します。仕事から離れると、社会とのつながりも減少します。人は社会的動物でもあり、本能的に群れから離れていることに不安を感じます。社会とのつながりという観点で、仕事のメリットを感じました。

また、適度なストレスや緊張感はあったほうが、健康や能力維持によいとも思いました。仕事の負荷が適度であれば、健康や能力維持にも、仕事のメリットを感じました。

6.3.人的資本の確保

人的資本とは稼ぐ力のことですが、無職期間が長くなると、人的資本に自信がなくなってきます。働けばお金を生み出せるように、人的資本を確保しておくことを考えるようになりました。健康や能力などの人的資本に自信があれば、生活費の不安はだいぶ減ると思います。貯金や年金が減った場合でも、インフレで貨幣価値が下がった場合でも、人的資本があれば身一つ働いて対応できます。

フルタイム労働でなくても、仕事を続けていれば、ある程度の人的資本を維持できると思います。私の場合、ITフリーランス週3日労働で、ITスキルを少し延命して、残りの時間(週休4日)でIT以外の人的資本を考えることにしました。

以上。

投稿者: おか

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