人の能力は楽しんでいる時に、より本来のパフォーマンスを発揮できると思う。医学書、哲学書、ビジネス書等の各方面からも、楽しむことが推奨されている。ところが、日本社会においては、苦しんで耐えることを善しとする昭和の精神論や、会社の利益が第一という大義名分のもとに仕事が楽しいものでなく苦行となった企業文化が、根付いてきた。そろそろ、日本人も人生を楽しんで、自分の本来のパフォーマンスを発揮し、自己実現する方向に向かったほうがよいと思う。楽しむことを推奨するために記事を書きたいと思う。
1.海外旅行でいつも思うこと
海外へ七カ国ほど、一人旅で行った。
中国へ五回ほど、仕事(オフショア開発)で行った。
いつも思うことがある。
外国の人々は、人生を楽しんでいる。
人生を楽しむことを重要に考えている。仕事は二の次である。
日本では、仕事が先で、人生を楽しむことは二の次である。
日本人というアイデンティティをいったん忘れて、単なる人間としてどちらがよいか考えた場合、外国の人々の考え方のほうがよいといつも思う。
海外を旅行している時、外国人から挨拶のように言われる言葉がある。
ENJOY.(楽しんでいるかい)
2.人類二千年の歴史から思うこと
2.1.現代の位置
次は時間軸の幅を少し広げて考えてみたい。
最近よく、「風の時代」というワードを、ネットや電子書籍で目にする。
西洋占星術によると、二百年単位で時代のパラダイムシフトが起こり、2021年12月22日に「地の時代」から「風の時代」に移行したというのだ。詳細はGoogleで「風の時代」をキーワードに検索すれば参照できる。今は時代の変わり目であり変革期である。
進化論のダーウィンは、「強い者でなく変化できる者が生き残る」と言った。今こそ、変わる時かもしれない。
2.2.世界三大宗教の歴史概観
世界三大宗教には、仏教、キリスト教、イスラム教がある。世界の歴史の中で、人類の集合的メンタルに大きな影響を与えてきたと思う。
仏教は紀元前4世紀から紀元前6世紀頃、キリスト教が紀元後まもなく、イスラム教は7世紀前半頃に誕生した。
仏教は約二千五百年、キリスト教は約二千年、イスラム教は約千五百年の歴史がある。
宗教というのは何故、誕生したのだろうか。
二千年位前の時代は、貧困や疫病や戦争や身分差別などで、多くの人生が苦しくて、何か心の支えがないとメンタルが持たなかったのではないか。そこで宗教が必要となったのではないかと思う。
「苦しい人生」を何とか乗り切るための考え方が必要となり、「人生が苦しいこと」が前提になっていると思う。
余談ではあるが、仏教の誕生は古代ギリシャや古代中国で哲学が誕生した時期(ソクラテス、プラトンや孔子、老子の活動時期)と重なる。僕は仏教は宗教というより哲学に近いと考えている。誕生時期の一致は、偶然の一致だろうか。僕は釈迦という人物は、神や仏のお告げを聞いた人ではなく、森羅万象の事象を深く考え抜いて真理に到達した大哲学者ではないかと、勝手に推察している。
2.3.時代背景という前提条件の違い
現代は二千年前とは時代背景が違う。時代背景という前提条件が異なる。
苦しいことが減り、楽しいことが増えている。
楽しむか楽しまないかは、個人の心がけ次第である。
「土の時代」から「風の時代」という大きな時代の節目でもある。
これからは、「人生が苦しい」という前提をリセットして、「人生が楽しい」方向に向かったほうがよいと考える。
人の能力や健康も楽しいほうが、ポジティブに作用すると思う。
各分野の本の記載からも、そう思われる。以下に示す。
3.各分野の本から
3.1.医学書
僕は健康志向があり、健康に関する医学書はよく読む。
化学薬品はできるだけ使わず、食や運動や気の持ちようで健康になる本を好む。
特に好きなのは、医聖のヒポクラテスである。
ヒポクラテスは紀元前460年頃の人で、古代ギリシャの哲学者プラトンとも交流があったと言われている。幾つか言葉を紹介する。有名な人だからGoogleすれば、他の言葉も参照できる。
《参考文献(ヒポクラテスの言葉)
・人は身体の中に百人の名医を持っている。百人の名医とは自然治癒力である。
・心に起きることは全て身体に影響し、身体に起きることもまた心に影響する。
・汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ。
・歩くことは人間にとって最良の薬である。
・賢者は健康が最大の人間の喜びだと考えるべきだ。
――ここまで参考文献》
僕は、最新の「自己免疫」「腸内環境」「脳神経科学」「食」「運動」などに関する本もよく読むが、ベーシックな部分は、大体がヒポクラテスの言葉に集約されていると思う。
病気を引き起こすものは何か。病気は気からという。
笑うことで免疫力が高まるという科学的な根拠もある。
怒りや恨みなどのネガティブな感情や継続は、健康を害するという医者もいる。
健康にとって医学的見地からは、苦しむより楽しむほうがよい。
苦しむほうがよいというのは、多分に精神論的な側面が強い。
科学的に考えれば、楽しんだほうがよいという結論に達すると思う。
3.2.ビジネス書
著名なビジネス書であるカーネギーの「道は開ける」の中で、ノーベル生理学・医学賞のアレクシス・カレル博士の言葉が引用されているので紹介する。
カーネギーも著書の中で、苦悩や不安が与える健康への悪影響を幾多の実例で解説している。
《参考文献(「道は開ける」から)
悩みに対する戦略を知らない者は若死にする。(カレル博士)
――ここまで参考文献》
つまり悩み苦しみ続けることは、若死にするほど体に悪いというのだ。
3.3.哲学書
哲学者のショーペンハウワーはその著書の中で、幸せに生きるためには、朗らかで陽気でいることが、即効性があり有効であることを述べている。
また、喜びはその人自身にかかっているとも述べている。
《参考文献(ショーペンハウワーの言葉)
いかなる楽しみにおいても、喜びはその人自身にかかっている。
英語では「楽しむこと」を「enjoy oneself(自分自身を楽しむ)」と表現する。
「He enjoys Paris.(彼はパリを楽しむ)」のではなく、「He enjoys himself in Paris.(彼はパリで自分自身を楽しむ)」のである。
――ここまで参考文献》
つまり、楽しめるか楽しめないかは、あなた次第ということだ。
以上。