健康寿命と健康貯金について

平均寿命より健康寿命のほうに着目すべきと思う。老後の備えとして、金銭貯金より健康貯金のほうに着目すべきと思う。健康寿命を伸ばして細く長く働けばよいと思う。これらについて記載する。

1.日本の統計データ

2021年に厚生労働省は、介護の必要がなく健康的に日常生活が送れる期間を示す「健康寿命」について、男性は72.68歳、女性は75.38歳と発表した。平均寿命は男性81.64歳、女性87.74歳だから、平均的には、男性で約9年間、女性で約12年間は健康的でなくなるかもしれない期間がある。

健康寿命は国民生活基礎調査のアンケートの回答から集計されたもので、回答者の主観に依存する部分はある。また健康寿命は一律でなく個人差があるが、目安として参考になるデータと思う。実際に75才前後頃から体力が落ちる人も多いと思われる。スーパー等でも体力が低下してそうな高齢者をよく見かける。

2.老後の備え 健康貯金と金銭貯金

老後の備えには、健康貯金と金銭貯金と公的年金があると思う。

よく老後の備えとして2000万円貯蓄が必要とか、年金は大丈夫かなど、金銭貯金や公的年金が話題になるが、健康貯金についてはそれほど話題になっていない気がする。個人的にはどちらかというと、健康貯金のほうにより注目すべきではないかと思う。もし仮に優先度をつけるとしたら、下記がよいと思う。

 老後の備え優先度(提案): 健康貯金>>金銭貯金≧公的年金

公的年金の見込額は、現時点の見込であって、将来全額受給することを保証するものではない。将来的に条件が変われば変動するかもしれない。減るリスクもあるのではなかろうか。あまり当てにしないか、ほどほどに当てにする程度がよいと思う。

金銭貯金は、個人の財産として価値はあるが、円安や物価の変動などで、価値が変わることはあるかもしれない。日本円がデフォルトして紙屑になることはたぶんないと思われるが、老後の安泰までは保証できないかもしれない。そもそも健康的でなければ、つまり健康寿命を過ぎた後は、金銭が人生の充実に及ぼす影響は低下する。

金銭が与える影響は、健康が許す範囲に限られる。世界一周の旅をするお金があっても、世界一周の旅をする健康がなければ、世界一周の旅は実現しない。

一方で老後の備えにおいて、最も効果があり実用性が高いのは、健康貯金であると思う。

「仕事の時間=フルタイム」、「仕事の場所=所属企業での定年延長」、「仕事の内容=今の仕事の継続」という3つの固定観念、前提条件をなくして、フレキシブルに考えれば健康寿命までは自然と働けると思う。健康年齢に合わせて、仕事の時間をパートタイムにして調整し、仕事の内容も年齢に合ったものにシフトしていけばよい。定年を過ぎたとはいえ、健康な人が働かないと単純に暇を持て余し、不健康でもあると思う。健康な間は、時間と職種を調整しながら働いたほうが、むしろ健全と思う。

収穫の時期に農家を手伝うアルバイト等も楽しいと思う。Indeedアプリで調べたらけっこう募集していた。公園の清掃なども、適度な運動にもなり良いと思う。

ポイントは、その時、健康か否かである。健康寿命の確保である。つまり健康貯金があれば老後は安泰と思う。健康を確保して、細く長く働けばよい。細く働けば、労働以外の趣味の時間なども十分確保できると思う。

3.働き方の社会的問題点および提案

働き方改革が導入されつつあるが、現在のサラリーマンの働き方は、健康負債を増やして健康寿命を縮めるような働き方が、まだ多いと思う。

60才の定年まで過度に働き、60才~65才頃を境にリタイアした後は、極端に働かなくなる。

また長時間労働、高ストレス、不健康な社会生活(食生活、運動不足、タバコの吸い過ぎ)等により、定年の60才過ぎくらいには、健康貯金を使い果す人もいるのではないかと思う。

僕の提案としては、労働負荷を各年代に細く長く分散させて、現役世代の過重労働を見直して、健康な状態で定年を迎え、細く長く健康寿命が尽きる頃まで定年後も働けばよいと思う。

また労働期間が長くなることで、セカンドキャリアの準備をして、年齢に応じた職業にシフトすることも重要だと思う。

ファーストキャリアは、自分に出来る事(社会が求めること)をやり、セカンドキャリアは自分がやりたかった事(子供の頃の夢など)にチャレンジするのも一計と思う。

4.健康の社会的意義

健康になることの社会的意義は大きい。

(特に高齢化社会の)医療費の削減が期待できる。医療費が削減できれば、税金も安くなるかもしれない。

健康寿命が延びれば、シニア層の労働力も活用できる。

高齢者が働く社会は不幸だろうか。本質はそうではないと思う。健康寿命を過ぎた働けない健康状態の人が働く社会が不幸であり、年齢は関連はあるものの本質ではないと思う。年齢でなく、健康状態や健康寿命が本質にあると思う。

高齢で健康な人が働けない社会より、希望者だけでも社会参加できたほうが、高齢者にとっても健全でよい社会だと思う。

5.健康貯金を貯めるには

健康貯金を貯めるには。健康負債を減らし、健康寿命を延ばすにはどうすればよいか。

方法は単純で誰でもできることの積み重ねと思う。年収を上げるより、よほど簡単だと思う。その方法については、別の記事(健康について より健やかに)にまとめた。

以上。