無形資産としての人格について

有形資産以上に無形資産を重視する価値観があると思います。私も無形資産のほうに価値を感じやすいほうです。先人の知識も引用しながら、無形資産の中軸と思われる人格について考察したいと思います。

1.お金関係の本から

私は株式投資を14年ほど続けています。その間にお金関係の本も沢山読みました。

「何にお金を使うと幸福度が高いか」といったテーマについて、多くの書籍で無形資産(経験、知識、自己投資等)にお金を使うことを薦めていました。

物を買った場合は、買った時が一番幸福感が高く、買った物に慣れるに従い徐々に幸福感は薄れていきます。一方で旅行などの経験にお金を使うと、思い出として残り、思い返しや人に話す度に、何度も幸福を感じて複利のような効果があるからです。この話は、よく聞く話と思いますが、一理あると思います。

無形資産なるもの、例えば、経験、知識、人間関係、人的資本、能力、自己投資、自己実現等をよく考えていくと、その中軸には人格があり、人格を豊にすることが無形資産の本質の1つではないかと思われます。そして、人生で大事なものとして人格に重きを置く考え方は、ショーペンハウワー哲学、マズロー心理学、ユング心理学、ゲーテの詩にも見つけることができます。それらを簡単に紹介したいと思います。

2.ショーペンハウワー哲学から

ショーペンハウワーは、著書「幸福について」の中で、人生の財宝を下記の3つに分類して論じています。

「①その人は何者であるか ・・・人品、人柄、個性、人間性
 ②その人は何を持っているか ・・・所有物、財産
 ③その人はいかなるイメージ、表象・印象を与えるか ・・・他者の評価」(1)

その中で、優先順位として①を圧倒的に押しています。根拠は本の中で詳しく説明されていますが、ここでは省略します。また参考文献にユーチューブ解説動画のURL(2)も記載しておきます。①は人格に関連する無形資産でもあり、ショーペンハウワー哲学でも、②有形資産や③他者評価よりも、人格の豊かさに重きを置いていることが分かります。

《参考文献》
(1)ショーペンハウアー. 幸福について (光文社古典新訳文庫) . 鈴木芳子訳. 光文社. Kindle 版, 2018
(2)“【名著】幸福について|ショーペンハウアー 今、人生がシンドイあなたへ”.アバタロー.2022/02/24.https://www.youtube.com/watch?v=K65igy0uZfk,(参照 2026/01/23).

3.マズロー心理学から

マズローは「マズローの5段階欲求」で知られる米国の心理学者です。人間の欲求を下記の5段階に分けて、下位の欲求が満たされると、より上位の欲求を目指すというものです。

①1段目 生理的欲求
②2段目 安全の欲求
③3段目 所属と愛の欲求
④4段目 承認の欲求
⑤5段目 自己実現の欲求

この中で自己実現は、高位(5段目)に位置しています。自己実現まで到達できる人は少ないらしいですが、実現できれば高い価値があると言えます。自己実現も、有形資産というよりは、人格の発達や豊かさに関していると思います。

さらにマズローは晩年に6段目(自己超越の欲求)を追加しています。これは、個人を超えて、利他的な他者貢献や社会全体への貢献を欲する段階です。自己実現も素晴らしいと思いますが、自己満足だけで終わってはちょっと寂しい気がするのではないかと思います。かなり難易度が高いかもしれませんが、自己実現をして、それ自体かその先が社会貢献につながっていくような生き方がもっとも幸福度(充足感)が高いのではないかと思います。

4.ユング心理学から

ユングは分析心理学の創始者で、集合的無意識、性格の外向・内向、ペルソナなどを提唱したスイスの精神科医であり心理学者です。心理学の三大巨頭(フロイト、ユング、アドラー)の一人です。

ユング心理学の重要な概念に個性化があります。個性化とは、本来の自己(真の自分)に成熟していく生涯のプロセスを示します。自己実現の過程とも言えます。ユングは、個性化を人生の目的とも言っています。ユング心理学においても、人格の発達や豊かさが、人生で最も重要な事の1つと考えられていると思います。

5.ゲーテの詩から

ゲーテはドイツの詩人、劇作家、小説家で、政治家や自然科学者としても活躍しました。ゲーテの詩に、人格についての詩があるので、引用したいと思います。

「民も下べも征服者もみな常に告白する。
 地上の子の最高の幸福は人格だけであると。

 自分自身をなくしさえせねば、 どんな生活を送るもよい。
 すべてを失ってもよい、自分のあるところのものでいつもあれば。」(3)

《参考文献》
(3)ゲーテ. ゲーテ詩集(新潮文庫) (p.179). 高橋健二訳. 新潮社. Kindle 版. 2016

6.まとめと考察

哲学者、心理学者、文豪などの先人の言説は、人格を豊かにする無形資産(知識や教養、経験、よい人間関係、健康、自己投資等)の価値を後押ししてくれます。

有形資産はお金で買うものが多いと思いますが、無形資産は旅行のようにお金を使う体験もあれば、お金を使わないものや、お金で買えないものもあります。例えば、健康や才能はお金では買えません。無形資産に重きを置くとき、必ずしもお金や消費だけにこだわる必要もないと思います。

幸不幸や良し悪しを最終的に決定するのは、外部や他者のものさしでなく、各自の主観によるものと思います。外部や他者のものさしはキッカケになることはあっても、決定権は各自の解釈や物の見方、主観にあります。そういった観点からは、人格が豊かになると、主観が見ている世界もより豊になるのではないかと思われます。

以上。

投稿者: おか

住所:埼玉県 性別:男 年代:50代前半 趣味:ウォーキング、旅行、読書 Address: Saitama,Japan Gender: Male Age: Late 50s Hobbies: walking, traveling, reading

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です