エッセイ 星の研究者

大きくなったら何になりたいか。子供の頃の物を整理していたら、幼稚園の卒園のしおりが出てきた。そこには、「大きくなったらどんな人になりたいか」という定番の頁があった。僕のなりたい人には、「星を研究する人」と書かれていた。

小さい頃になりたかったことは、大人になって身につく余計なバイアスがない分、生来の特徴や性格が表れやすいのかもしれない。

僕の特徴は大人の今でも、商業的なことより、学者や研究者のほうが向いている。儲けなど、正直どうでもよいと考えてしまう。商売には不向きだ。

幼稚園児のボクは、星のどこがそんなにお気に入りだったのか。どこに興味を惹かれたのか。もちろん覚えていない。大人になって改めて考えてみると、星の光はずいぶん遠い所からやってくる。そして、今見ている星の光は、遠い昔の光だ。

《参考文献(星の光は何年前。ネットで検索)

オリオン座のリゲル:850年前

オリオン座のベテルギウス:500年前

太陽:8分前

その他:天体望遠鏡では億年前の星の光も観測されている。(例:イカロス90億年前。エアレンデル129億年前)

――ここまで参考文献》

星は遠い宇宙の彼方から光を発し、その光が長い旅をして地球に到達する。その光の粒が集まり満天の夜空を形成する。

ちょっと詩的な表現を試みてみた。僕はゲーテやヘッセの詩が好きでよく読んでいた。詩人は平凡な日常からも、その感性によって内面に素晴らしい世界を形成する。外に贅沢を求めなくても、詩人のような感性があれば、普段の日常が、興味深く美しいものになると思う。

以上。